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2023.02.20コラム

コラムvol.2「副業と転職・リスキリングはどちらを優先すべき?」

コラムの目次

●各用語の定義
●副業の目的とメリット・デメリット
●転職の目的とメリット・デメリット
●リスキリングの目的とメリット・デメリット
●優先順位の基本的な考え方
●副業にチャレンジ可能な基準年収(副業基準年収)

昨今、日本の労働人口減少を補うとともに、日本の経済を再活性化することを目的に、生産性向上や所得増加の手段として副業や転職・リスキリング(リカレント教育)が大きな注目を集めています。しかし、これらの手段をどのように組み合わせるのが生産性向上や所得増加に有効であるかは、私たち個々人がそれぞれ考えていかなければならない重要なテーマです。

そこで、本コラムでは副業、転職、リスキリング(リカレント教育)のどの手段を優先すべきであるか、私の考えをお話したいと思います。まずは、それぞれの用語の定義を確認していきましょう。

各用語の定義

●副業:収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業、サイドビジネス、ダブルワークともよばれる。(出典:Wikipedia)

●転職:職業を変えること、あるいは職場を変えること。現在の日本では、一般的には、正規雇用の被雇用者がこれまでの雇用契約を解消し、別の雇用主と新たな雇用契約を結び雇用されることを指す。つまり必ずしも職種を変更することは意味しない。むしろ、職種は変更せず雇用主だけを変更することを意味することが多い。(出典:Wikipedia)

●リスキリング:新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている。(出典:リクルートワークス研究所)

●リカレント教育:主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育のことを指す。「(社会人の)学び直し」とも言われる。(出典:Wikipedia)

リスキリングとリカレント教育は、主体(リスキリングは企業・個人が主体、リカレント教育は基本的に個人主体)や離職の有無(リスキリングは離職を伴わないのに対し、リカレント教育は離職することが前提)が異なるものの、ビジネスパーソンが新たなスキル・知識を学ぶという点で共通であるため、本コラムでは両者をほぼ同義と考え、以下では「リスキリング」という用語のみを使用することとします。

副業の目的とメリット・デメリット

定義が明確になったところで、各手段の目的とメリット・デメリットを見ていきましょう。

まずは、「副業」です。副業は、本業以外での収入を得ることが主な目的ですが、それ以外にも趣味・特技を活かしたやりがいの獲得(自己実現)や、興味のある分野において将来転職・起業するための準備を目的とする場合もあります。

メリットは、本業以外に収入源を作ることにより全体として収入が増加すること、副業を通じてビジネスに関する新たなスキル・経験・ネットワークを獲得できることなどが挙げられますが、副業の最大のメリットはやはり自分自身で「稼ぐ力」を体得できることだと考えます。一方で、本業に加えてビジネスを行うため、全体的な労働時間が増加したり、副業に関する諸経費を負担しなければならないことがデメリットになります。

<副業の目的>

●本業以外での収入を得ること
●趣味・特技を活かしたやりがいの獲得(自己実現)
●興味のある分野において将来転職・起業するための準備

<副業のメリット>

●全体として収入が増加すること
●ビジネスに関する新たなスキル・経験・ネットワークを獲得できること
●自分自身で「稼ぐ力」を体得できること

<副業のデメリット>

●全体的な労働時間が増加する
●副業に関する諸経費を負担しなければならない

転職の目的とメリット・デメリット

「転職」の目的は、職場を変えることにより本業の収入を増加することや、複雑な人間関係を清算することが挙げられます。また、特に職種の変更を伴う場合には、新たな分野で挑戦する機会を得たり、新たなスキル・経験を獲得することも目的となります。

転職の最大のメリットは、複数の職場を経験することにより、「ビジネスパーソンとしての市場価値」を特定の職場環境に依存せずに向上できることです。そしてこの結果として、本業の収入アップや人間関係に起因するストレスの軽減が可能になることもメリットとして挙げられます。一方で、デメリットとしては、早期に成果を出さなければならないという焦燥感など転職後に大きなストレスを抱いたり、転職の成功不成功が転職先の職場環境に大きく左右されてしまうことが挙げられます。

<転職の目的>

●本業の収入を増加すること
●複雑な人間関係を清算すること
●新たな分野で挑戦する機会を得たり、新たなスキル・経験を獲得すること(特に職種の変更を伴う場合)

<転職のメリット>

●ビジネスパーソンとしての市場価値を特定の職場環境に依存せずに向上できる
→本業の収入アップや人間関係に起因するストレスの軽減が可能

<転職のデメリット>

●転職後に大きなストレスを抱くことが多い
●転職の成功不成功が転職先の職場環境に大きく左右されてしまう

リスキリングの目的とメリット・デメリット

最後に「リスキリング」です。リスキリングの目的は、ビジネス環境の変化が激しい現代において、新たなスキル・知識を習得し、生産性を向上させることにより、本業の収入増加やビジネスパーソンとしてのスキル向上、雇用状態の維持・安定が可能になることです。

リスキリングの最大のメリットは、転職と異なり職場の変更を伴わないことから、ノーリスクで新たなスキル・知識を獲得できることです。一方で、リスキリングには一定期間の学習・経験が必要であることから、収入アップなどの効果がすぐには現れないことがデメリットとして挙げられます。

<リスキリングの目的>

●新たなスキル・知識を習得し、生産性が向上する
→本業の収入増加やビジネスパーソンとしてのスキル向上、雇用状態の維持・安定が可能に

<リスキリングのメリット>

●ノーリスクで新たなスキル・知識を獲得できる

<リスキリングのデメリット>

●収入アップなどの効果がすぐには現れない

優先順位の基本的な考え方

これら3つの手段の優先順位について、私は各手段のリスク度合いとリターンの即効性、消費時間を踏まえて、基本的に「リスキリング→転職→副業」の順で優先順位をつけるのがよいと考えています。

少し詳しくご説明します。まず、各手段のリスク度合いとリターンの即効性、消費時間はおおよそ以下の表のように表すことができます。

副業・転職・リスキリングの各手段のリスク度合いは、上の表のようにリスキリング→転職→副業の順で大きくなっていきます。また、前述したように、各手段の目的・メリットでは、リスキリングと転職が「ビジネスパーソンとしての市場価値を上げる」ことが主であるのに対し、副業は「自分自身で稼ぐ力を体得すること」と他の2つの手段とは異なります。

現代の「人生100年時代」においては、「如何に長く働き続けられるか」が最重要テーマですが、定年年齢が徐々に引き上げられているとは言っても企業で働けるのはせいぜい70歳まで。残りの30年余りの生活を支えるためには、全ての人が、自分自身で稼ぐために、最終的に副業・起業にチャレンジしなければなりません。

しかし、繰り返し述べますが、副業・起業をするには、転職・リスキリングに比べて大きなリスクを取る必要があります。そのため、副業・起業に着手する前に、よりリスクの小さい転職・リスキリングを通じてしっかりとした「ビジネスパーソンとしての市場価値」を身につけ、リスク許容度を上げる必要があるのです。

副業にチャレンジ可能な基準年収(副業基準年収)

では、副業に着手する前提となる「ビジネスパーソンとしての市場価値」(以下、副業基準年収と呼ぶことにします)は、どの程度身につけることが必要なのでしょうか。

私は、①2社以上から、②残業なしで、③年収600万円以上の収入を得られる程度の市場価値があることが一応の目安になると考えます。

目安条件①:2 社以上から

生え抜き社員で、副業基準年収を超える年収を得ていても、それが客観的な市場価値に合致しているかを検証する必要があります。なぜなら、生え抜き社員の場合には、現在の評価の根拠の中にスキル以外の要素(長年の貢献度合いや年齢・温情などの人的要素)が入っていることが往々にしてあるからです。

また、現在のような厳しい経営環境においては、会社の業績が急激に悪化し、減給やリストラの憂き目に会ったり、人間関係のトラブル等により転職を余儀なくされるなど、現在の基盤が簡単に崩れてしまうリスクが容易に想定されるからです。

ちなみに、私は、最初に勤務した法律事務所が急成長し、その成功体験から27歳で1度目の起業をしたものの、結局失敗に終わったという経験を有しています。この時の敗因は、まさに自分の実力(市場価値)を勘違いしていたことにあります。

この経験から、私のような無謀なチャレンジを行わぬよう、転職を一度も経験したことがない幸運な生え抜き社員の方や、転職の経験があっても前回の転職から長い年月が経過されている方は、副業・起業にチャレンジする前に試しに転職活動をしてみるなど、ご自分の市場価値を客観的に把握してみることをお勧めします。

目安条件②:残業なし

ご自分の市場価値を把握する際は、残業代や特別賞与等の不確定要素を除いた「基本給+固定賞与の金額」(ベース給与額)をもとに、副業基準年収を超えているかを判断することも必要です。また、ベース給与額が副業基準年収を超過する場合でも、今のベース給与額を維持しながら、実際に残業をしない働き方が可能な状況でなければ意味がありません。

なぜなら、どのような事業を選択しても、副業を行うには必ず一定の時間が必要だからです。本業が連日残業で忙しい状況で、更に時間を要する副業に着手すれば、身体や精神に大きな負担がかかるのは容易に想像できます。また、副業の時間を捻出するために残業をしないという働き方を実践したことにより、本業の人事評価が下がり、ベース給与額が減額してしまうというのも本末転倒です。このような場合には、まず業務効率化や転職を通じて本業の生産性を向上させ、残業を減らす努力をしたり残業をしなくても評価を維持できる環境・市場価値を整えることが副業に優先されるべきです。

目安条件③:年収600万円以上

日本人の平均給与額を考えると、ベース給与で年収600万円という金額は一見ハードルが高すぎるように感じられるかも知れません。

しかし、副業と言えどもビジネスである以上、市場競争に勝たなければ利益は得られません。しかも、競争相手はあなたと同じ副業者ではなく、この事業を本業としている企業・個人です。そのため、副業であっても、競合他社との市場競争に勝つための差別化要素(ユニークセールスポイント・USP)が当然に必要になり、このUSPを備えるには「ビジネスパーソンとしての市場価値」も高いことが絶対的に必要です。そのため、本業でこの副業基準年収をクリアできていない方は、まずリスキリング・転職を効果的に活用して、本業で副業基準年収を超えるよう努力した上で、副業にチャレンジすることをお勧めします。

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